非営利団体への転職と求人探し!非営利団体に正社員で就職出来る?給料はしっかり支払われる?
非営利団体の活動をニュースなどで目にしていくうちに、そういった組織で活動することに興味を持つようになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ですが非営利団体については表面的なことしか知らない場合も多いので、組織に身を置くとなると以下の様な疑問が山積みになってくるかもしれません。
● 「非営利団体とは、そもそも何?」
● 「非営利団体で働くことってできるの?求人は出てる?」
● 「非営利団体で働いた場合、給与は出るの?」
今回は、こうした疑問を解消していただける情報のほか、非営利団体の組織としてのメリット・デメリットなども紹介していきます。
気になった方は是非気軽にご覧になってみてくださいね。
非営利団体って何?給料は支払われる?
そもそも非営利団体とは、どういった団体のことを指すのでしょうか?
また非営利団体で働く場合、給料は支払われるものなのでしょうか?
そもそも非営利団体とはどういう組織?NPOとは違うの?
非営利の「営利」とは、利益を得るという目的の元で活動を行なうことを言います。
つまり非営利団体とは、そういった目的を持たない組織(団体)のことです。
この非営利団体からまず連想する言葉として「NPO」があります。
NPOは、Non profit OrganizationもしくはNot-for-Profit Organizationの各単語の頭文字を取ったものでprofitには「利益」、Organizationには「組織」という意味があります。
NPOは、広義では非営利団体を指すので、非営利団体=NPOというのも間違いではありません。
ただ非営利団体自体の広義には、特殊法人や認可法人なども含まれてきます。
ですから非営利団体と一言で言っても、組織の種類はさまざまなのです。
ちなみにですが、NGOはNon governmental Organizationの各単語の頭文字を取ったもので、日本語では「非政府組織」や「非営利組織」と表されます。
NGOの特徴は、活動の規模が地球規模であること。
「国境なき医師団」や「アムネスティ・インターナショナル」などは、NGOの代表格といえるでしょう。
非営利団体と利益の関係性について
先ほどにもあったように、非営利の「営利」には以下の様な意味があります。
“金銭的な利益を得ようとすること。利益を得る目的で、ある活動をすること。”
出典:三省堂
これを見ると、非営利団体は原則無償で行なうボランティア組織のような団体だと思うかもしれません。
ただ非営利団体の、非営利は「利益を配分しない」という意味であって「利益をあげてはならない」という意味ではありません。
例えば株式会社ですと、株主に対する配当などで利益の配分を行なうことができます。
ですが非営利団体の場合はそれができませんので、利益は活動費として使うことになります。
非営利団体の職員に給料は支払われる?
利益の配分ができないとなると、「非営利団体の職員は無給なのだろうか?」と思いがちかもしれませんが、給料は経費として扱われますので、職員に給与を支払うことは利益の配分にはあたりません。
また、一般企業と同様にボーナスが支払われる場合もあります。
ただその一方で、非営利団体で無給で活動をしている人もいます。
無給か有給か、あるいはどこまで給料を支払うのかなどは、各非営利団体の自由です。
非営利団体の職員の平均年収はどれくらい?
非営利団体の職員でも給料が支払われることがわかると、やはり気になるのが「平均年収」ですよね。
結論から言うと、非営利団体職員の平均年収は安いです。
NPO法人ユースビジョンが2009年に行った調査では、基本給が支払われているNPOの法人のうち、約70%が月収20万円未満ということがわかっています。
また2008年に行われた第一生命経済研究所の調査によると、有給でNPO活動をしている人の平均年収が「約160万円」ということもわかっています。
さらに2010年に行われた愛知NPO交流プラザの調査では、正職員の平均年収は265万円という結果でした。
いずれにしても月収や年収は高くありません。
非営利団体では、高収入を必要としない高齢者やボランティア感覚で仕事をする既婚者(主に女性)が多く働いていることから、給料が低く設定されがちともいわれています。
しかしその一方で、高学歴・高収入を捨て、非営利団体で年収200万程度の給与で働く人もいます。
そうした人たちは、「自分のやりたいこと」というものをとても大切にしています。
また上記データはいずれも2018年現在からすると少し古いものでしたが、最近では少し給料事情も変わってきているようです。
都市部のNPO法人では、300〜350万円程度の平均年収を支払うケースもあるとか。
ですから今後は、非営利団体の給料事情が好転していく可能性もあるのではないでしょうか。
非営利団体のメリットとデメリットまとめ!
では続いて、非営利団体のメリット・デメリットについてチェックしていきましょう。
非営利団体にするメリットって何?
社会的信用を得やすくなる
非営利団体(NPO法人)を設立することで組織の主体を明確にすることができるため、活動上の取引など、あらゆる面で組織の信用を高めることが可能になります。
契約の主体が組織になる、法人名で活動できる
非営利団体の設立により、契約の際の主体が組織となります。したがって、オフィスの賃貸契約や物品購入なども法人名で行なうことができます。
また一般的な法人と同様に法人名義での銀行口座も開設可能です。要するに、非営利団体の設立で法人名での活動ができるということが大きなメリットということです。
税制上の優遇措置
メディアに取り上げられやすくなる
一概にはいえませんが、個人や任意団体で活動をしているときよりも非営利団体として組織化した後のほうが、メディアに取り上げられやすくなる場合があります。
非営利団体の活動を広く知ってもらうためには、これは決して小さくないメリットといえます。
非営利団体にするデメリットはある?
活動内容に制約ができてしまう
個人や任意団体であれば、思いついたら即行動というスピーディーな活動が可能ですが、非営利団体として組織化した場合にそれはできなくなります。
理事会での合意を得た後でないと活動をすることができません。
また、活動内容には定款の制約があります。活動内容を変えたいのであれば、まずその定款を変更しなければなりません。
定款変更には4ヶ月ほどの期間が必要となりますので、その変更も容易ではありません。
NPO法人設立までの期間が長い
NPO法人の設立までには、専門家の手を借りたとしても約4ヶ月半もの期間がかかります。また、場合によっては5〜6ヶ月の期間がかかってしまいます。
何かに合わせてNPO法人を設立したい場合、これら期間を踏まえたうえで早め早めに設立準備を行っていく必要があります。
厳正なる事務処理を行なう必要がある
非営利団体を設立した後は、事業報告書や収支計算書、財産目録、社員名簿といった書類を毎年提出することになります。
こうした書類の作成にはやはり大変な労力を必要としますので、「できればやりたくない」と思う人が大半でしょう。
名義変更などの諸手続き
これまで個人や任意団体の所有財産であったオフィスや事務所などは、非営利団体の設立に伴い法人名義へと名義変更をする必要があります。
これらデメリットのなかで気になる点といえば、やはり「活動内容に制約が生まれる」ということでしょうか。
自分の思うがままに活動をしていきたい場合に、その制約は時に足かせとなってしまう可能性があります。
あなたは非営利団体でどんな仕事をしたい?
非営利団体と一口に言っても、その組織での活動内容はさまざまです。
非営利団体への就職や転職に興味がある場合は、まずはそこで「どういった仕事をしたいのか?」という点を明確にすることが大切になってきます。
子どもたちへの支援活動を行なう非営利団体での仕事
NPO法人などの非営利団体では、子どもたちと関わる事業を展開しているケースも多いです。
そういった非営利団体での活動内容としては、以下の様な例があります。
- 放課後の子どもたちへの支援活動。(児童館、学童クラブ。)
- 孤立した子どもたちに対する支援活動。
- 子どもの貧困に対する支援活動。
- 障害のある子どもたちへの支援活動。
など
世の中にはいろいろな子どもたちがいますから、このように支援のあり方にも多様性があります。
お年寄りへの支援活動を行なう非営利団体での仕事
超高齢化社会が叫ばれる現代の日本において、お年寄りとその家族と関わる非営利団体にもやはり注目せずにはいられません。
そういった非営利団体での活動内容には、以下の様な例があります。
- 家事や通院の付添などの生活支援サービス。
- 一人暮らしのお年寄りに向けた身元引受サービス。(身元保証人になってくれる人がいない、緊急入院時に一人では不安…といったときに利用できるサービス。)
- 旅立ちサポート。(行政への届出や遺品整理など、もしものときのサポートも行います。)
など
若者への支援活動を行なう非営利団体での仕事
一般的にはあまり社会的弱者と見られることがない若者にも、支援の手を必要としている人々がいます。
そうした若者を支援する非営利団体の活動内容の例としては、以下の様なものがあります。
- ニートや引きこもりの状態にある若者の自立のための支援活動。
- 働きたいけど働けない、といった状態にある若者の家族に向けた支援活動。
など
女性への支援活動を行なう非営利団体での仕事
働き方改革などでこれまで以上に女性への注目、時には負担が高まりつつある今、女性への支援活動を行なう非営利団体の存在も見逃せないものとなっています。
そういった非営利団体の活動内容の例としては、以下の様なものがあります。
- 自傷行為や摂食障害、性被害といった問題を抱える女性への支援活動。
- パートナーや恋人について悩みを持っている女性への支援活動。
- DV被害者の女性やその子どもたちへの支援活動。
- 働く女性への支援活動。
- 女性の安全や健康のための支援活動。
- 女性の再就職のための支援活動。
など
非営利団体の活動内容は、今回紹介した以外にもいろいろとあります。
そのように支援の形に多様性があるということはとても大切なことです。
もし非営利団体で働きたいと思うのであれば、やはり「自分がどの分野に関わっていきたいのか?」ということをよく考える必要があります。
そこから志望動機なども生まれてきますので、まずはそこを重点的に考えていくといいのではないでしょうか。
非営利団体への転職と求人探しのコツ!
非営利団体への就職や転職に興味がある場合、気になるのは「求人の探し方」です。
一般的な方法でも、非営利団体の求人を探すことはできるのでしょうか?
また、未経験であっても非営利団体から採用してもらうことは可能なのでしょうか?
非営利団体の求人は一般の転職サイトでも閲覧できる?
結論から言うと、非営利団体の求人も一般の転職サイトで簡単にチェックすることができます。
例えば転職サイトのdodaのキーワード検索にて「NPO」と入力し検索をすると、2018年3月6日現在146件の求人情報がヒットします。
非営利団体の求人に関しては、よくある職種のカテゴリから探す方法では見つけづらい場合もあるので、求人情報をチェックするときはなるべくキーワード検索ができる転職サイトを選ぶようにしましょう。
またdodaでは現在、社団法人や財団法人といった非営利団体の求人特集も組まれています。
その特集ページの先にも非営利団体の求人情報が掲載されています。
dodaの他では、リクナビNEXTでもキーワード検索ができます。
そこに先ほどと同様「NPO」と入力して検索してみたところ、2018年3月6日現在36件の求人情報がヒットしました。
dodaに比べると求人件数が少ないですが、非営利団体での仕事に興味があればチェックしてみる価値はありそうです。
非営利団体の正社員求人はある?アルバイトが多い?
非営利団体でアルバイトとして働くという道もありますが、その仕事を本業にしたい場合はやはり正社員として働きたいと思うものですよね。
先ほど紹介したdodaでヒットしたNPOの求人146件のなかでは、正社員の求人が137件と圧倒的で、ついで契約社員が12件、その他(FCオーナー・業務委託など)が4件という結果でした。
これを見る限り、非営利団体の正社員求人も比較的簡単に見つけることができそうです。
ただNPOというキーワードが悪いのか、NPO法人以外の求人も引っかかってしまっています。
こうした事態は他の転職サイトでも考えられることなので、検索の際には何種類かキーワードを入力してみるといいかもしれませんね。
未経験でも非営利団体への転職は可能?
dodaやリクナビNEXTでの非営利団体の求人検索結果を見ていますと、「未経験歓迎」の求人も目立ちます。
ですから未経験者でも、まずは応募してみることが大切です。
例えばdodaに2018年3月6日現在掲載されている「NPO法人 フットワーク新宿」の求人詳細ページでは、「未経験者が入社しやすい環境」という記述があります。
そのNPO法人では利用者10人に4〜5名の従業員がつくため、先輩に支えてもらいつつ仕事を覚えていける環境があるといいます。
非営利団体の求人探しでオススメの転職サイトは?
上記のように、非営利団体の求人探しには「doda」がとくにオススメです。
NPOなどの非営利団体の求人数も比較的多くヒットしますし、また非営利団体の求人特集を用意しているというのもポイントが高いですね。
dodaでは、転職サイトの他に、エージェントサービスやスカウトサービスも提供しています。
エージェントサービスは、キャリアアドバイザーと相談しながら転職活動を進めていきたい場合などにオススメのサービスです。
スカウトサービスは、利用者に興味を持った企業よりオファーメールを受け取ることができるサービスです。
幅広い視点で転職活動をしていきた場合は、こうした転職サイト以外のサービスにも目を向けることがとくに重要といえます。
さて今回は、「非営利団体とは何か?」といった基本的な情報から非営利団体のメリット・デメリット、求人の探し方まで、幅広い情報をお届けしてきました。
ご覧のように、非営利団体ではアルバイトではなく正社員としても働くことができます。
兼業はあまり考えていないという場合は、その正社員求人に注目しながら就職活動や転職活動を進めていくといいのではないでしょうか。